TOPページ > 原子力安全規制の業務内容 > 原子力安全の最近の動き > 高速増殖原型炉もんじゅの安全確保に関する原子力安全・保安院の対応状況
もんじゅにおいては、平成22年5月、ナトリウム漏えい事故から約15年ぶりに試運転を再開して7月に炉心確認試験を終了し、さらに40%出力プラント確認試験に向けた燃料交換を終えてその後片付けが行われていました。その作業中の8月26日、炉内中継装置(IVTM:炉内に挿入し、そこを通じて燃料を炉内から出し入れするための装置。重さ3.3トン)を原子炉容器から引抜きを行っていたところ、当該装置が約2m吊り上げられた位置から落下しました。
もんじゅは停止中であり、また、この事象の発生後も周辺の放射線やナトリウムの状態等に変化はなく、直ちに原子炉の安全性に影響を与える事象ではありません。当院では、原子力機構から事象発生の通報連絡を受け、直ちに現地で原子力保安検査官が放射線モニタやナトリウム液位計の指示値に異常のないことを確認しています。
当院は、8月27日、原子力機構に対して、当該事象の状況、設備への影響等を確認するとともに、当該事象が発生した原因を調査した上で、再発防止対策を講じ、これらの結果を速やかに報告するよう指示しました。。
原子力機構は、当院指示に対する中間報告を同年10月1日に行いました。当院は同報告を受け、落下したIVTMは所定の位置に着座していること、原子力機構がIVTMの吊上げ装置(原子炉機器輸送ケーシング(AHM))に落下防止の応急対策を施すこと、引抜きに当たり、IVTMの吊上げ荷重を監視しながら慎重に実施する方針であることを確認しました。
原子力機構は、10月13日、落下して所定の位置に着座していたIVTMの引抜き作業を開始しましたが、約2.3m引き上げたところで荷重が警報設定上限値まで上昇したことから、作業を中断しIVTMを吊り上げ前の所定の着座位置に戻しました。当院では、原子力保安検査官が当該引抜き作業に立ち会って状況の確認を行いました。。
原子力機構は、IVTMの状態について、11月9日に遠隔による目視確認を行った結果、内部案内管のつなぎ目の間隔が約15mmと通常値(5~7mm)を超えて広がっていることを確認したことから、IVTMが変形し、燃料を取り扱う機能を有していないこと及び通常の方法によっては同装置を引き抜くことができないものと判断し、同日当院は、原子力機構からその旨、原子炉等規制法に基づく報告を受けました。当院では、当該目視確認作業においても原子力保安検査官が立ち会って状況の確認を行いました。
原子力機構は、IVTMと燃料出入孔スリーブを一体で引抜くこととし、保安規定に基づく特別な保全計画を定め、引抜き作業計画を策定し、これらに沿って作業を行い、平成23年6月24日に一体引き抜きを完了しました。当院は、当該作業に先立ち、保安検査で作業計画を確認するとともに(平成23年度第1回保安検査報告書(抜粋))、原子力保安検査官が作業に立会って、引抜きが安全に行われたことを確認しました。
原子力機構は、引き抜いたIVTM等の点検・調査を進め、平成24年3月9日、当院は、原子力機構から、落下の原因と対策については原子炉等規制法に基づき、設備影響等については当院指示に基づき、報告を受けました。
原子炉等規制法に基づく報告では、落下の原因について、IVTMをつかむAHMのつかみ部の設計段階でつかみ部の形状維持に対する基本要求機能が適切に定められなかったことから、爪開閉ロッドとパワーシリンダの接続部にねじ構造が排除されず、当該ねじがAHMの設置等に伴う振動により徐々に緩み、つかみ部の形状が維持できなくなったためとされています。落下防止の対策については、AHMのつかみ部の形状を確実に維持できるよう設計をやり直して製作するとともに、設計時の安全機能要求の明確化、設備交換時における交換前後の状態の比較の徹底、これまでに制作した安全上重要な設備及びそれらに影響を及ぼす設備を対象とした設計時の妥当性確認の実施等が挙げられています。
当院において、原子炉等規制法に基づく原因と対策に係る報告についてその内容を確認した結果、原因については、各種調査により直接原因が適切に推定されているとともに、対策については、推定原因を踏まえ、AHMのつかみ部の形状を確実に維持できるよう設計をやり直して製作する等の適切な対策を講じることとされており、妥当である旨4月2日に公表しました。同時に、技術レビュー等が不十分であったことに対する更なる根本原因分析の実施を指示しました。
当院は、今後、AHMのつかみ部の構造に適切な落下防止対策が施されていることについて、使用前検査を通じて厳正に確認します。また、その他の対策の実施状況についても保安検査等を通じて確認します。
原子力機構から3月9日に提出された当院指示に基づく報告では、設備点検、落下したIVTMの引上げ時の荷重変動が正常時と同様であったこと、検証試験及び構造解析から、安全上重要な機能(燃料交換機能)に影響を及ぼす有意な変形は発生しおらず、また、炉内への部材の落下(ルースパーツ)の影響はないと評価されています。今後、変形したIVTMは再製作し、炉内に装荷して試験を行うことにより燃料交換機能の健全性を実機で確認する計画とされています。
当院としては、本報告も踏まえ、今後、落下影響に係る設備健全性について、使用前検査を通じて厳正に確認します。
保安院は、東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故を踏まえ、平成23年3月31日に、緊急安全対策を指示し、電源車・ポンプ車等の資機材の配備状況、緊急時の対応マニュアルの整備状況、緊急時対応訓練の実施状況等について厳格な確認を行い、5月6日、緊急安全対策は適切に実施されているものと判断しました。その後、6月7日、原子力災害対策本部が取りまとめた報告書に基づき、万一シビアアクシデントが発生した場合に 直ちに取り組むべき措置について実施するとともに、その状況を報告するよう指示し、6月18日、シビアアクシデントへの対応に関する措置は、適切に実施されているものと判断しました。

保安院では、原子力機構から平成21年11月9日に提出された安全性総点検報告書(第5回報告)を受け、試運転再開に向けた安全管理面及び設備面の取組状況を保安検査、使用前検査、立入検査等で確認し、専門家の意見も聴取した上で、「原子力機構は、もんじゅの試運転再開に当たって、安全確保を十分に行い得る体制となっている」との評価結果を平成22年2月10日にとりまとめました。 この評価結果については、同月22日に原子力安全委員会から妥当との評価を得ています。

保安院は、平成22年5月3日から立入検査を開始し、同月5日、試運転再開準備の最終確認を完了したことから、同月6日よりもんじゅの試運転が再開され、炉心確認試験が始まりました。炉心確認試験の実施期間中、立入検査、保安検査、使用前検査等により、その安全性を確認しました。7月22日、立入検査により、試験が安全に実施され、終了したことを確認しました。
炉心確認試験における安全性の確認状況 参照原子力機構は、炉心確認試験の結果及び当該試験における運転・保守の経験等を踏まえた、次の段階の性能試験である40%出力プラント確認試験に向けた課題をとりまとめた報告書を保安院に提出しました(平成22年10月19日)。
保安院は、当該報告書を受け、「40%出力プラント確認試験に向けた安全確認の検討の進め方について」をとりまとめ、平成22年10月20日のもんじゅ安全性確認検討会に報告しました。
保安院は、「40%出力プラント確認試験に向けた安全確認の検討の進め方について」で示したとおり、原子力機構が各課題項目を取りまとめる毎に順次確認していくこととしています。
40%出力プラント確認試験に向けた安全確認の検討の進め方について 参照新耐震設計審査指針に照らした耐震安全性の評価の原子力機構の報告書(平成20年3月31日提出、平成21年3月に追補版、平成22年2月に改訂版、同年3月に補正版を提出)について、耐震・構造設計小委委員会ワーキンググループ等における専門家の審議を経て、当院は、平成22年3月15日、耐震設計審査指針の改定に伴うもんじゅの耐震安全性評価については、妥当であると評価しています。