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は じ め に
平成19年度に中部近畿産業保安監督部近畿支部管内で発生した電気事故(発電所、PCB関係を除く)のうち、電気関係報告規則に基づき、報告のあった電気事故について取りまとめましたので、以下にその概要を紹介します。
電気保安担当者におかれましては、これを参考に今一度、電気工作物の施設状況及び保守保安体制等を再確認され、事故の未然防止と電気工作物の安全性の確保、信頼性の向上に努められるようお願いする次第です。
1.電気事故の概況
過去10年間の電気事故の種類別発生件数を第1表に示しています。平成19年度の事故発生総件数は58件となっています。 特徴としては、感電死傷事故件数は昨年に引き続き1桁台を維持していること、また、波及事故が減少していることが挙げられます。
第1表 種類別事故発生件数
【単位:件】
|
年度 |
感電 |
感電外 |
火災 |
社会的影響 |
破損 |
供給支障 |
他社波及 |
波及 |
指定事故 |
累計 |
発生件数 |
| 10 |
26 |
5 |
6 |
|
23 |
15 |
|
81 |
|
156 |
151 |
| 11 |
24 |
9 |
2 |
|
13 |
6 |
|
60 |
1 |
115 |
113 |
| 12 |
18 |
4 |
|
|
27 |
11 |
|
73 |
|
133 |
126 |
| 13 |
21 |
8 |
1 |
|
5 |
2 |
|
53 |
|
90 |
89 |
| 14 |
21 |
7 |
4 |
|
3 |
2 |
|
53 |
|
90 |
90 |
| 15 |
17 |
5 |
4 |
|
6 |
4 |
|
49 |
|
85 |
84 |
| 16 |
13 |
6 |
|
2 |
4 |
1 |
|
77 |
- |
103 |
101 |
| 17 |
11 |
3 |
|
|
2 |
1 |
1 |
56 |
- |
74 |
72 |
| 18 |
7 |
6 |
|
1 |
2 |
|
|
58 |
- |
74 |
73 |
| 19 |
7 |
8 |
|
|
1 |
2 |
|
41 |
- |
59 |
58 |
|
19年度発生率 |
12% |
14% |
|
|
2% |
3% |
|
69% |
|
100% |
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注1:平成16年4月1日報告規則改正に伴い、「損壊事故」は「破損事故」に名称変更、「物損事故」及び「指定事故」は廃止、「社会的に影響を及ぼした事故」が追加されています。
2.感電死傷事故
感電その他電気工作物に係る人身の死傷事故は社会的影響も大きく、感電死傷事故は電気事故の中でも重要視され、類似事故等がないよう種々の防止対策が講じられていますが、残念ながら毎年、発生しているのが現状です。
第1図は、過去10年間の死傷者数を示しております。平成19年度の感電死傷事故発生件数は7件で、死傷者数も同数の7名となっています。

第1図 感電死傷事故の死傷者数(平成10〜19年度)
(1)月別発生状況
第2図は、月別死傷者数を示しております。過去10年間の平均を見ると7月の発生件数が高くなっています。発汗と暑さによる集中力の低下も要因の一つと考えられます。

第2図 感電死傷事故の月別死傷者数
(2)電圧別発生状況
第3図に過去10年間の感電死傷事故の電圧別発生状況を示しています。高圧、特別高圧での事故は、ここ3年間ほぼ横ばいとなっています。また、低圧での事故は毎年発生しています。

第3図 感電死傷事故の電圧別死傷者数(平成10〜19年度)
(3)作業者・公衆別発生状況
作業者における事故は昨年度より減少していますが、公衆における事故は昨年度より増加しています。
作業者における事故原因
は全て「被害者の過失」となっています。
(4)年齢別・経験年数別発生状況
平成19年度の特徴としては、50歳以上で経験をつんだ方の事故が多く発生しています。経験をつんだことによる「慣れ」がこうした事故を招いていると思われます。作業を行うに当たっては、自らが手本となるよう安全作業に心がけて頂きたいものです。
3.電気工作物に係る死傷事故で感電以外のもの(感電外死傷事故)
電気工作物に係る死傷事故で感電以外のものは8件となっています。内訳は、電気事業用で1件、自家用で7件となっています。8件中7件が低圧での事故で、原因の殆どが、作業者の過失によりアークによって負傷したものとなっています。
電圧の大小にかかわらず充電部近くで作業等を行うにあたっては、あらかじめ作業内容について確認し、十分安全にご留意いただくようお願いします。
4.電気火災事故
電気火災事故は今年度はありませんでした。
5.社会的に影響を及ぼした事故
社会的に影響を及ぼした事故は今年度はありませんでした。
6.主要電気工作物破損事故及び波及事故
主要電気工作物の破損事故は、平成19年度は1件発生しています。
2回線スポットネットワーク受電の事業所で、変圧器二次側の計器用変圧器が経年劣化によりアーク短絡、地絡が発生。これにより、過電流継電器作動前の短時間で変圧器が絶縁破壊し、波及事故に至ったものです。
7.供給支障事故
供給支障事故は、平成19年度は2件発生しています。
内容としては、電力ケーブルの末端部の施工不良により地絡し、焼損したことによるもの、変電所の計器用変成器が経年劣化等により損傷したことによるものの2件となっています。
8.自家用電気工作物からの波及事故
平成19年度の自家用電気工作物からの波及事故は41件発生しています。しかしながら、当支部に報告があったものは28件であり、13件は報告を怠ったことになります。
当支部管内の自家用件数が約13万件であることから、事故発生率は約0.03%となっています。
何らかの事故が発生し、報告対象か否かがわからない場合には、必ず当支部まで問い合わせていただくようお願いします。

第4図 波及事故の発生件数推移(平成10〜19年度)
(1)電気工作物・原因別発生状況
事故発生電気工作物ではケーブル類が多く全体の46.4%を占めています。
原因別では、「保守不備」のうち「自然劣化」によるものが全体の42.9%を、「自然現象」のうち「雷」によるものが全体の21.4%と高い比率を占めています。
(2)経過年数別発生状況
全体としては15年以上経過した機器で事故が多く、平均経過年数は約23年となっています。
使用状況及び日頃の保守状況によっては機器の寿命が短くなることも考えられます。各事業所におかれましては設備診断を行い、適切な時期に設備の更新又は改修を行うようお願いします。
(3)二次原因別発生状況
保護範囲内外での発生状況をみると、平成19年度は保護範囲内からの発生率が17.9%となっています。
また、保護範囲内での内訳をみると、継電器の不動作によるものが3件で、過去5年間の合計では70.2%になっています。
なお、「強制投入」による事故も1件発生しています。
保護範囲外での波及事故も例年多く、責任分界点には地絡遮断装置を設置する対策が望まれます。また、継電器・開閉器が不動作しないよう保守管理の徹底を行い、波及事故が発生しないよう心がけて頂きたいものです。
(4)供給支障時間・供給支障電力
「供給支障時間」については1時間以上2時間未満のものが多く、平均供給支障時間は1時間8分となっています。 また、「供給支障電力」は500kW以上1,000kW未満のものが多く、平均供給支障電力は1,170kWとなっています。ひとたび波及事故を起こすと、概ね1時間にわたって周辺の需要家を停電させることとなります。経済活動はもとより、人命に係わることとなりかねませんので、十分注意していただきたいと思います。
おわりに
今年度の電気事故の特徴は、感電死傷事故が昨年度と同数の7件で全体的に減少傾向となっていること、また、波及事故の事故件数も大幅に減少していることが挙げられます。
しかしながら、感電外死傷事故が8件と昨年度より増加し、その殆どが作業者の過失が原因となっていることから、作業に際しては十分注意していただく必要があると考えます。
波及事故の原因としては保護範囲外での事故が約8割を占めており、責任分界点には地絡遮断装置を設置する等の対策が望まれます。
事故件数そのものは低推移を維持しているものの、以前として類似事故が繰り返し発生しているのも事実であり、安全確認を怠ることなく実施し、防護具の着用、作業方法の遵守等、お願いする次第であります。
事故は幾多の要因が重なり起きますので、定期的な保安教育や事前ミーティングの実施、作業手順及び安全確保対策等を確実に遵守することが、事故をなくす第一歩であると考えます。
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