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平成20年度自家用電気工作物立入検査結果

中部近畿産業保安監督部近畿支部
電力安全課 自家用係

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1.はじめに

 原子力安全・保安院では、自家用電気工作物が起因となる感電、火災等の事故から従業員、点検作業者、一般公衆等を守り、電力の供給に影響を与えないための保安体制の確保、公共の安全確保、保安レベルの向上を図ることを目的として電気事業法第107条に基づき自家用電気工作物設置者に対する立入検査を実施しており、保安体制の核となる保安規程の遵守状況、技術基準の適合状況及び電気主任技術者を中心とした保安活動が円滑に執り行われているかを確認しております。
 規制緩和の昨今、設置者の自己責任による自主保安体制の確立が以前にも増して重要になってきております。立入検査を通じて自家用電気工作物設置者及び電気主任技術者に自主保安について再認識して頂き、自主保安のレベルが向上するよう指導を行っております。
 電力安全課では平成20年度は71件の自家用電気工作物の設置者に対する立入検査を実施しました。立入検査を実施した事業場は、保安の実態把握が必要な事業場、電気事故を発生した事業場、及び保安の管理が適切でない恐れのある事業場を中心に選定しています。
 以下に立入検査の実施結果をまとめました。皆様方の事業場の保安体制を確立する上でのご参考にして頂きましたら幸いです。

2.立入検査の目的と内容

(1)立入検査の目的

 立入検査事業場において、一般公衆及び従業員の安全確保や波及事故防止の観点から、自家用電気工作物設置者が自己責任意識に基づく自主保安体制をどのように構築しているか、その保安レベルの維持、向上に対する意識を確認し、必要な行政指導・助言等を行うことにより、各事業場がより望ましい自主保安体制への確立を促すことを目的としており、具体的には
@電気工作物の工事、維持及び運用の保安を確保するために設置者が作成した保安規程の遵守状況の確認
A保安状況の監督を司る電気主任技術者の保安活動が適正かつ円滑に執り行われているかの確認
B保安上必要な情報提供をすることにより、設置者の自主保安活動を充実させる
となります。
また、電気事故を発生させた事業場については、その後の事故再発防止対策を適切に実施しているか、その内容を従業員に対してどのように保安教育を行っているかを確認しています。
 更に、立入検査の結果をこのような誌面を通じて他の自家用電気工作物設置者及び電気主任技術者に対し広く周知することにより、同様の電気事故の発生・再発並びに技術基準適合違反を防止することを目的としています。

(2)立入検査の内容

 検査の内容としては以下の項目について、工場又は営業所、事務所、その他の事業場に立ち入り、電気工作物、帳簿、書類等を検査します。
・保安規程遵守状況及び電気主任技術者の執務状況(組織、保守、運用、保安教育、災害対策等)
・電気工作物の施設状況、維持管理状況(技術基準適合状況等)
・電気事業法関係法令に基づく諸手続状況

(3)立入検査事業場の選定基準

 検査を実施する事業場は、原則として、以下の基準に該当する事業場又はその自家用電気工作物を管理する事業場等に立ち入ることにしています。
・事故報告対象事故が発生した事業場(事故内容を勘案)
・技術基準に適合するよう命じられた事業場
・経年劣化の恐れのある設備を持つ事業場
・使用実績がない又は少ない新技術を導入した事業場
・社会的影響の大きい事業場(公共施設等)
・保安の管理が適切でない恐れのある事業場
・保安の実態把握が必要な事業場

3.平成20年度の立入検査事業場の概要

  平成20年度は71箇所の事業場に立入検査を実施しました。選定基準別の内訳は、感電死傷事故発生事業場が7箇所、感電外死傷事故発生事業場が6箇所、波及事故発生事業場が38箇所、電気工作物の損壊事故発生事業場が2箇所、保安の実態把握が必要な事業場が13箇所、保安の管理が適切でない恐れのある事業場が6箇所となっています。
 なお、上記件数の合計は72箇所ですが、主要電気工作物の損壊事故対象事業場でかつ波及事故となった事業場が1箇所あるため1箇所多くなっています。

 

【立入検査事業場選定基準】

 電圧別の内訳は、低圧が1箇所、高圧が57箇所、特別高圧が12箇所です。保安形態別の内訳は、選任主任技術者が15箇所、許可主任技術者が1箇所、電気管理技術者(外部委託)が21箇所、電気保安法人(外部委託)が33箇所となっています。 
 なお、上記件数の合計は70箇所ですが、1箇所は既に廃止されていた事業場であったことから件数から除外しています。
事業場の業態別内訳は、工場が25箇所、商業施設・店舗が15箇所、事務所ビルが8箇所、公共施設が6箇所、その他が17箇所となっています。

 【立入検査事業場規模別及び保安形態別内訳】

 事業場の業態別内訳は、工場が25箇所、商業施設・店舗が15箇所、事務所ビルが8箇所、公共施設が6箇所、その他が17箇所となっています。

【立入検査事業場業態別内訳】

 

4.検査の結果

(1)電気主任技術者の執務状況及び保安規程遵守状況

改善指導件数は合計78件(文書で確認したもの)で、改善を指導した具体的な内容は以下のとおりです。

@電気主任技術者の状況
・電気主任技術者が保安監督の職務を誠実に実施していない 2件(外部委託2)
・電気主任技術者が転退職して不在 1件(選任1)

A保安規程等の変更手続
・現状の保安組織、設備、運用を反映していない 2件(選任1、外部委託1)
・構内図が実態と合致していない 1件(外部委託1)
・巡視点検測定及び手入基準が一部実態に合致していない 7件(選任5、外部委託2)
・保安規程を紛失 1件(外部委託1)

B保安管理体制
・保安管理体系が不明確(別自家用の扱い) 1件(選任1)

C保守点検
・点検の全部又は一部を実施していない 11件(選任4、外部委託7)
・点検頻度を遵守していない 7件(選任4、外部委託3)
・巡視、点検記録が不適切(記載漏れ、記録の欠損、未設置設備に点検記録) 5件(選任1、外部委託4)
・点検結果に基づく改修状況が不明 1件(外部委託1)
・点検結果に基づく改修が未履行 1件(外部委託1)
・点検結果を設置者が確認していない 1件(外部委託1)

D書類保管
・保安規程で定められた保管期間を守っていない(点検、事故、工事、保安教育関連) 3件(選任2、外部委託1)

E保安教育
・保安教育を適切かつ計画的に実施していない 10件(選任4、外部委託6)
・防災訓練を適切かつ計画的に実施していない 3件(選任1、外部委託2)

F工事の計画及び実施
・補修工事関連資料が整備されていない 1件(外部委託1)

G運転または操作
・運転操作基準を定めていない 7件(選任3、許可1、外部委託3)
・運転操作基準を遵守していない 1件(外部委託1)

H災害時の防災体制
・災害時(電気事故)の防災体制が整備されていない 3件(選任1、外部委託2)

I整備その他
・設備台帳が整備されていない 1件(外部委託1)
・ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物の使用状況を把握していない 1件(外部委託1)
・「ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物の使用届出書」を届け出ていない 2件(選任2)
・「ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物廃止報告」を届け出ていない 1件(選任1)
・「氏名等変更届出書」を届け出ていない 2件(選任1、外部委託1)
・「事業用電気工作物設置者地位承継届出書」を届け出ていない 1件(外部委託1)
・「自家用電気工作物廃止報告書」を届け出ていない 1件

 (2)電気設備の維持管理状況

受電設備関係(構内配電線を含む)及び負荷設備関係の技術基準抵触件数は25件、技術基準には定められていないが指導した件数は30件でした。改善を指導した状況の具体例は以下のとおりです。

@技術基準に抵触したもの
(受電設備)
・電路の絶縁抵抗値が基準を満足しない
・接地抵抗値が過大
・高圧受配電設備の出入口に立入禁止の表示がない
・高圧受配電設備の出入口に施錠装置がない又は施錠が不適切
・電柱の足場金具等が1.8m未満に設置されている
・高圧架空電線と低圧架空電線相互の離隔距離が不足

(負荷設備)
・電路の絶縁抵抗値が基準を満足しない
・漏えい電流が過大
・機械器具の鉄台及び外箱の接地工事不完全又は未施工(自販機を含む)
・低圧架空電線が架空弱電流電線と接触
・地絡遮断装置が未設置
・低圧屋内配線器具の施設方法が不適切(取扱者以外の者が立入可能)
・低圧屋内配線と弱電流配線の離隔距離が不足

A技術基準には抵触していないが危険なため指導したもの
(受電設備)
・各種測定試験の判定基準が不明確
・B種接地抵抗試験の判定基準が不明確
・電路の絶縁抵抗値が社内基準を満たしていない。対応要検討
・継電器特性試験の判定基準が不明確
・受電用遮断器に要求される遮断容量を把握していない
・立入禁止の表示方法が不適切
・機械器具等を取扱者が安全に点検できない
・電気室等必要な箇所の照明器具が照度不足、故障・破損している
・配電盤等のパイロットランプが破損または故障
・受電室内に雨漏りの可能性がある
・通気口、ケーブル貫通部等から小動物進入の可能性がある
・波及事故防止対策の充実強化又は確実な履行

(負荷設備)
・電路の絶縁抵抗値が低下。対応要検討
・不要な配線が撤去されていない
・分電盤の施錠管理又は扉の補修が必要
・フィーダの行き先表示がない
・長期使用低圧進相コンデンサの取替等を要検討
・分電盤の前が整理されていない
・証明用電気計器(子メータ)が有効期間を超過

(3)指摘事項のまとめ

 電気主任技術者の執務状況、保安規程遵守状況については合計78件、技術基準適合状況については合計55件の指摘を行いました。
 今回立入検査を実施した各事業場の指摘件数を円グラフにまとめました。保安体制については、指摘を受けなかった事業場(指摘件数0件)が39箇所あった一方、5件以上指摘された事業場が3箇所ありました。

【 技術基準に関する指摘事項】

技術基準の指摘については、指摘を受けなかった事業場(指摘件数0件)が41箇所、5件以上指摘された事業場は1箇所でした。

 

【保安体制に関する指摘事項】

保安体制及び技術基準ともに指摘を受けなかった事業場は、26箇所、1件の指摘を受けた事業場は14箇所、2件の指摘は11箇所、3件の指摘は8箇所でした。

5.まとめ

 以上のように、平成20年度は71箇所の自家用電気工作物に立入検査を実施し、電気主任技術者の執務状況、保安規程遵守状況については78件、技術基準については55件の指摘を行いました。
 また、近年、技術及び品質向上により電気設備自体の信頼性は向上してきましたが、経営コストの削減により、計画的な設備更新がなされていない事業場が少なからず確認されました。保安管理体制に不備があった事業場、法令遵守違反のあった事業場も散見されました。
 これら保安活動上の問題点を放置すれば電気事故につながる可能性が高いと思われます。
100年に一度という経済危機の渦中にあり、経営を取り巻く環境は極めて厳しい状況にあるとは存じますが、各自家用電気工作物設置者におかれましては、保安体制及び電気設備について、法令遵守(保安規程遵守)及び事故防止の観点から今一度見直して頂きたいと思います。
 そして、本結果を参考に電気保安について改めて認識して頂き、電気主任技術者との意思疎通を行い、しっかりした補修・改善計画をたて実行するとともに、保安体制を強化、改善し、継続的に自主保安レベルの向上に努めて頂きたいと切に願う次第であります。
 最後に、電気の保安は皆様方の心がけ一つ一つの積み重ねで成り立っております。改めて電気の大切さ、電気事故の怖さを認識していただき、電気事業法及び電気保安行政へのご理解ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

 

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